側まで来てそっと、横たわる人物を覗き込む。


息を飲む程に、美しい青年だった。


危険な感じはしない。


私は珍しく他人に興味が湧いて、連れて帰る気になった。


途中、何度か青年は薄目を開けて、うわ言を言っていたが、

『みなぎく』

はっきりと聞き取れたのは、女性の名前らしきその言葉だけだった。


死ねないとか、すぐ回復するとか、関わるなとか、そんな言葉も彼は呟いていたが、私には今更放り出す事なんてできなかった。