お兄さんがお医者さん

「ちょっと待っててね。」って言ってお兄ちゃんがどこかに行っちゃって、ママがベッドのそばの椅子に座った。
すぐ、看護師さんとお兄ちゃんが戻ってきて、「まりちゃん、ちょっとうつ伏せになれるかな?」って言いながら、私の身体をうつ伏せにされた。
「ちょっと、頑張ったら、ラクになるからね。」ってズボンを下げられた。
注射だって気がついて、「イヤ、イヤ、注射しないでっ!泣」って泣きながら言ったけど
「大丈夫、すぐ終わるからね。ちょっとだけ、頑張ろうな」って下着も下げられた。
お尻に打たれる注射ってこれまでの経験ではすごく痛い。すごく嫌で怖くって泣きながらバタバタ暴れてたら、看護師さんとママに押さえられた。
「ちょっとチクってするよ」って言われてすぐ、注射が打たれた。
「痛い、イヤだよ、うー・・・泣」
「もうちょっとだよ。頑張ってな。はい、おしまい。ごめんね。痛かったね。」って注射跡を揉まれた。
下着とズボンをなおしてもらって仰向けに寝かせられた。痛かったのとイヤだったのとでグズグズ泣いてたら
「まりちゃん、これで吐き気はなくなるからね。もう1つだけがんばろうね。」って腕をとられた。
「もう、イヤだぁ。泣、グズっ、うっ、グスッ・・・」
「痛いのは一瞬だけだから、ちょっと頑張ってな。消毒するよ・・・よし、じゃあ、力抜いてごらん。」ってお兄ちゃんは言って、点滴の針を刺した。
「いたっ!グスッ。泣」
「よし、痛いのは終わり。1時間くらいかかるから寝てていいからね。じゃあ、おやすみ。」って言った。
ママが、「翔は今日は仕事?」って聞いたら、「イヤ、まりちゃんの点滴終わったら帰ろうと思う。それまで医局で仕事するから。」って言って行っちゃった。