宇島 小夜と同じクラス。
宇島 小夜と隣の席。
それだけで嬉しいって思う俺は重傷だな。
理科室を後にした後、俺は屋上で昼寝をしていた。
宇島 小夜の夢。
目が覚めると腹が鳴った。
もう昼か。
俺の腹時計が教えてくれた。
屋上から出て教室に向かう途中。
「桜井仁くん?」
後ろから声が聞こえて振り返った。
「やっぱり、そうだ」
ニコッと笑って俺に近づく女。
たぶん、ガール候補だろうな。
「あたし、ガール候補なの」
やっぱりな、だから俺に近づくんだろ?
「河西 美咲っていうの、美咲って呼んで?」
上目遣いで俺を見る河西 美咲。
「河西でいいわ」
「…仁くんは、もう相手見つけたぁ?」
「相手?」
「ガール候補のいい女の子。」
「あぁ。」
「あー、もしかしてあたし?いいよ、あたし仁くん欲しいって思ったし」
こいつ、自意識過剰か?
「お前じゃないから。」
「…ふーん。でも、絶対にあたしが欲しくなるからね」
河西は不適な笑みを見せて俺の前から立ち去った。
なんだそりゃ。
俺は宇島 小夜しかいらねーんだよ。

