でも、あたしのそんな夢(願望)は入学式に散った。
入学式当日。
あたしは、電車に乗り、慣れた道を歩いていた。
慣れたのは、毎日見学に来ていたから。
誰も居ない校舎を歩くのが何故か心地が良くて。
あたしは毎日のように新しい高校に行っていた。
「小夜、今日入学式だね〜」
無駄にテンションが高いあたしの友達、松田 名奈 《マツダ・ナナ》。
「入学式って、出なきゃダメなのかな?」
「当たり前だよ♪高校での初めての行事なんだから、小夜は面倒臭がりだからね〜」
「うん。」
あたしが素直にそう言うと、名奈は「そこ意地はるとこー」とツッコミを入れて来た。
楽しみ
って訳じゃない。
ただ、あの校舎に行ける!
って思っただけ。

