「……葵さん…?」 黙ってる私に、心配になったのか腕を緩めて私を見ようとする彼に、自分から抱きついた。 「い、や」 「……葵さん」 「二人の時は、さっきみたいに葵って呼んで……」 私の言葉に、ははっと小さく笑った彼。 「あと……私以外に、優しくしないで……」 「―――あとは?」 優しさだけで出来た声で、彼は続きを求める。 「……私以外の子と、二人にならないで」 「うん。……後は?」 「……わ、わたしを……好き…?」 ―――涙のダムが決壊。 .