「痛い…っ」

「蒼一郎!」



 私の腕を力一杯握って引き寄せる。

 あまりの力強さに痛みが走り、抵抗するけど……蒼くんは放してくれない。



「お前…! 乱暴な事するなよ!」


 慌てて吉田くんが止めるけど、蒼くんは吉田くんを一瞥した後――「あなたには関係ない」と、睨み付け私の腕を引いたまま歩き始めた。



 ―――怖い…っ



「や、だ……蒼くんっ」


 私の声に何の反応も見せない彼の後ろ姿が怖くて。

 私は思い切り掴まれてる腕を振り払った。



「葵さん!!」



 後ろで蒼くんの呼ぶ声がする。でも……怖くて振り向けないっ!