『ごめん、でも、
目的果たしたし、
どうでもよくなっちゃって。』

つよがった細い声が、痛々しい。

どうでもいい、という言葉に、

なんだか泣きたくなる。


「・・・なに、目的って。」


『タカオちゃん、告白できた?』


――・・・は?


『先生と二人になれたでしょ?

言えた?』


「まさかユリ・・・、

その為だけに、
学校来たとか、言わないよね?」


『そのためだけだよ。』


あまりのことに、言葉を失う。


『だってタカオちゃんには、
あきらめて欲しくなかったんだもん。

ねえ、言えた?』


無邪気に繰り返すユリに、ため息が出た。


だけど嬉しくて、笑いがこみ上げてくる。



私は、ユリがここまで来るのに

どんだけシンドイ思いをしたか、

わかってる。


ずっと、クラスメイトの名前を唱えてたユリ。


あれは、一人一人を心の中で
攻略してたんだ。


「クラスメイト」というカタマリじゃなくて。


「そぅお~、すごいね私、
ユリに、そこまでさせちゃうんだ。

じゃ~あ~、約束守れて、良かったよ。」


『ほんと!?すごいタカオちゃん!!』


すごいすごいと、喜んでくれる。


帰ったら報告してね!といって、

電話は切れた。



「え、ちょっ、・・・」


どんな切り方だよ。


液晶に向かって心の中で毒づいて、

先生にケータイを返す。



先生は、おかしそうに笑っていた。