「あれ?俺、ペンのフタどこやった?」
ふたたび障子の前に戻ってきた先生は、
むき出しの赤ペンを拾い上げると
きょろきょろとあたりを見回した。
私は、「しらないよー!!」と笑いながら、
手のひらの中でそっと、
赤いキャップを握り締める。
えー、さっき立ち上がって、転がしたか?とかなんとか、
障子を持ち上げたり
私をどかしたり、
赤ペンを片手にその辺を探す先生を見ながら、
私は、背中の後ろに隠した手に
ぎゅっと力を込める。
・・・い、意外とちゃんと探すな。
もっとあっさりしてるかと思ったけど。。
いま見つけたふりして返そうか、と
迷い始めた頃、
先生が、あきらめた。
「しょうがねえ。ソッコー使い切るか。」
「あはは、どうやって?」
「採点する時、なるべくでっかく丸をつける。」
「あ、それいい!いっそ全部はなまるにしなよ!!」
「なるほど。・・・や、それ絶対けんしょう炎になる。」
先生が赤のボールペンをそのままさして、
煙草と赤ペンがポケットで並んだ。
キャップは、私の制服のポケットにある。
「今日って、5限までだっけ?
遊び終わったら、
部員が来る前に張り替えまでやっといて。」
え、私一人であとやるの!?と思ったけど、
「チャイムが鳴ったら帰っていーからな」と言い置いて部室を出て行く先生が、
タカオちゃんを探しに行くのがわかってたので、
「はーい」と、大人しく良い返事をする。
満足そうに笑った先生が
ふすまを閉めて、
トン、と小さな音がした。
私はバシィッと、マスに腕をつっこんだ。

