先生に向かって笑い返しながら私も上履きを脱ごうとして、
なるべくのろのろと脱ごうとして、
だけど上履きなんて簡単に脱げてしまう。
『それじゃあいつか、こずえちゃんが生徒じゃなくなったら、』
急によみがえってきたソラミミを、あわてて首を振ってその辺に散らす。
さっき数学科室の前でよぎった不吉な想像が頭をちらつく。
先生の様子から、
また意味もなく安心しちゃったけれど。
・・・タカオちゃん、どうなっただろう。
聞くタイミングを逃してたけど、
昼休みに先生とタカオちゃんは、
二人でいた?
今、先生に聞いても、大丈夫?
先生は奥の方で、
障子をつかんでガタガタやっている。
はずれかけた障子の向こうからのぞく窓の外の景色は、
どんよりとした雲に覆われて薄暗い。
私はごくっと息をのんで
畳に足を踏み入れると、
その背中に向かって、
おそるおそる、声をかけた。

