よっぽど楽しいことを思いついたのか、
嬉しそうに(!)歩きながら、
先生が手招きをする。
なんとなく妙な不安にかられながら
少し離れてついていくと、
昇降口から階段の前を右に曲がって、
校舎から少し外れた所にある、
文化部の部室に、たどり着いた。
アルミのサッシじゃなくて木の装飾で、
ドアではなくてふすまを開けると
そこには異空間のように、和室が広がっている。
日に焼けた畳の、
香ばしいような匂いがした。
ウチの校舎で障子(しょうじ)があって
床の間(とこのま)があるのは、ここだけだ。
「まだ5限だよな?
うわ、相変わらず暗いなあ。電気つけてんのに。
雰囲気が暗いんだよな、なんか。なあ?」
靴を脱いでズカズカと畳にあがっていった先生が、
入り口に突っ立ってる私を振り返る。
私は何も言えなくて、あいまいに笑う。
「なにしてんの?おいでおいで。」

