「そりゃ、いなくても何も変わんないかもしれないけどさ、
いたらこんなに動くんだよ、
変わるんだよ。
みんながみんな、
それぞれ誰かを動かしたり変えたりしてんだよ。」
柄のささくれを見つめながら、
先生の言葉を静かに聞いた。
その様子に、
先生の手からも自然と力が抜ける。
不意をつけば、
ぐんっと、モップは簡単に浮く。
「じゃあやっぱり、私は部屋から出ないほうが良かったんだ・・・!」
「今更ひっこんだってどうにもならねーんだよ!!
お前が生まれてきた時点で『それ』はもう始まってんだから、
腹くくって引き受けろって言ってんの!!」
つかの間、私の物になったモップは、
私が言い終える前に先生にぶんどられ、
「げ、ほんとに滑った・・・っ」
先生の手をすっぽ抜けて、
ぶんっと風をなびかせて、
はるか遠くへ飛んでいった。

