先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】







「窓に何の恨みがあるんだ、ユリ。」


背後から伸ばされた手につかまれたモップは、

窓ガラスに届く前に止まって、ビクともしない。


逆らって力をうんと入れるのに、

ゆっくりとモップは引き返してきて、

直立に私の横に立つ。



ごん、とまた小さく、音がした。



その音と同じくらいに小さく、

リョースケ先生が静かに口を開く。



「それをぶつけたい相手は、ここにはいないだろ。」


先生の言葉はちゃんと聞こえていたけれど、

私は逆らって、上に向けて、つかんだ手にぐいぐいと力を入れた。


同じくらいの強さで、先生の手がそれを押し返す。


「どんなにデカイ声でわめいたって、強い力で暴れたって、相手がその場にいなきゃ、届くわけないだろ。

直接ぶつかれば、こんなもん、いらないんだよ。

声だって、力だって、目の前にいりゃ、小さくても充分、響くんだよ。」



それでも私は逆らって、さらに両手に力を込める。


何度かモップの柄は床を離れようとしたけれど、

先生の手がそれを許さない。



負けじと先生も、力を入れる。

つかんだこぶしが、白くなっている。

負けじと?