その日の帰り、いつも一緒に帰ってた友達から絶交された。
あの子が先生を好きなことなんて、「有名」で「みんな知ってる」ことなんだそうだ。
「なのにあんなこというなんて、こずえちゃん、ひどい。かわいそうだよ。
私は、あの子の味方するから。」
本音がスケスケのたてまえだったけれど、
気持ちはわかるので何もいえなかった。
だけどそれでもやっぱり、
彼女も私のとばっちりを食うことが何度か起きた。
ブリキのバケツ。
黒板消し。
黒い鳥。
下駄箱。
掃除用具入れ。
「なんとかいえよ!」
いやだって言っても、
やめてって言っても、
誰も聞いてくれなかった。
私の頭の中、どんなに強い言葉を探してかき集めても
全然だれにも、きかなかったじゃない!
だからもっと威力のある言葉を、
強い力を、
私と同じだけ傷つけられる武器を―――
背にしたロッカーの扉が、少し開く。
すき間に手をしのばせると
指先が、さわった。
木の感触。
ささくれ。
関節を曲げて、しっかりとつかんだ。
モップの柄(え)
取り出してみるとこのお掃除道具は、
結構な重量があった。
ぬうっとした、存在感。
その不恰好で汚い武器を、
私はゆっくりと身構えた。
取り囲んでた女の子達が、顔を引きつらせてあとずさる。
私はじっくりと、彼女達を見回した。

