「アヤ、彼氏が女友達と切れなくって、手を焼いてんだよ。」
にやにや笑いながら、鈴木さんがこっそりと教えてくれる。
「自分が、そいつが彼女に振られた瞬間狙いで、
友達からなんとか昇格しただけに。」
「そこ、余計なこといわない!」
立ち上がって綾瀬さんがびしっと指をさす。
アヤの指先をよけるように
私と鈴木さんが笑い転げると、
その動きに合わせて、
彼女達が無自覚に作ったバリアが、分散して破ける。
ずっと様子をうかがっていたらしいクラスメイトの一人が、
それを察知して、寄ってきた。
「ねえねえ、その話もっと聞きたい。」
えーと、誰だっけ、この子。
長谷川さんだっけ。
この子とも話したことが一度もないけれど、
そうダイレクトに切り出されちゃ、
断るのもカドがたつもんね?
おにぎりを包んでいたアルミを丸めながら、
私はあいまいに頷いた。
その途端、更に二、三人が後ろから顔を出す。
えーと、木村君に中山さんに、佐々木君。
はいはいはい、
よってらっしゃい、みてらっしゃい~。
こうなりゃとことん、お相手しますよ~。

