彼は今まで、どれだけの辛さを味わってきたんだろうか。
私は知らない。
一ヶ月前、彼に別れを告げに行ったあの日から後のこと。
そして……。
あの日と、それから数ヶ月前。その数ヶ月の間のことも。
私の知らない間の彼はどうしていたんだろうか。
考えたことはあったけど、分かるわけがない。
でも彼はなんで私に言ったの？
なんでそんなこと私に言ったの？
他人の私に。
……それは本人にしか分からないか。
もしかすると気まぐれなのかもしれない。
―――でも。
「じゃあもう一人じゃないね」
「……は？」
「私がいるよ」
―――私は今の彼を放っておけない。
