手をヒラリヒラリ。
私に向けて揺らす瑞希。
そんな瑞希に私も片手で手を振り、
もう片方の手で椅子を後ろに引いた。
「千早くん、帰ってこないね」
「あーあ、一緒にご飯食べたかったのにー」
椅子から立ち上がった時、耳に入ってきた女子の声。
彼女達の言葉を聞き、私はもう一度視線を反対側の席に向けた。
朝から帰ってこない彼。
だからか女子達は大分退屈しているみたいだ。
「……」
不良校でもないのに、授業を出ないのなんて許されるの。
レベルも高い私立校なんだよ?ここは。
いいのかねぇ。
そう思いながら扉まで歩き、取っ手に手をかける。
「にしても、千早くんってさぁ、やっぱり右目失明してるんだね」
「急にどうしたの」
「いや、左目動いても、右目は動かなかったからさー」
「あー。でもさ、ちょっと、え?て思うけど……カッコいいから全然良いよね」
「だよねー」
あははっと楽しそうに笑う女子達。
――何が楽しいのか分からない。
カッコいいから?
それだけで良いの?
彼の容姿が良ければ、それでいいの?
……なんだ、それ。
あんた達、最低だ。
取っ手から手を離し、体をゆっくりと彼女達に向ける。
彼とは他人だ。
他人になった。
だから彼と私は何の関係もない。
だけど。
さっきの言葉だけは、許せない。
「――ねぇ」
視界に映る彼女達。
後ろのロッカーで二人。笑っている。
