「先生…」

先生は体育館の隅にいた

体育館の窓をひとつひとつ閉めている先生

先生がいる

先生がいるよ…

後ろ姿だけでも十分に先生だってわかるよ

私は先生を元へと走る

先生は私には気づいていない様子

「先生…!」

私は先生を呼ぶ

先生が私の方を振り返る

「神崎か?」

真っ黒の髪色も

服装も

何ひとつ変わっていなかった

先生の顔を見た瞬間、涙が溢れた

「先生…先生…」

私は先生の胸の中で泣き崩れた

「神崎、久しぶりだな」

先生はそう言って私のことを抱き寄せた

ギュッて抱きしめてくれたことがわかった

なんで先生が私のことを抱き寄せたかはわからない

先生がどんな顔で私のことを抱きしめてくれてるんだろう

先生は今、何を考えているんだろう