「神崎」

名前を呼ばれた

私は後ろを振り返る

「どうしたの?小松先生」

「どうしたんですか?小松先生だろ?」

先生は笑いながら言った

「アハハ!どうしたんですか?小松先生ー」

「お前がここにいるって中川達が言ってたからさ」

「そっか…」

少しの間、沈黙が続く

「お前、矢沢先生に会いに行くのか?」

「うん…行くつもりだよ」

「北高校は卒業式、今日じゃないから夕方行けよ」

北高校は矢沢先生の移動先の学校

「わかった。ありがと」

今日、先生に会いに行く

先生に言ったから

卒業したら会いに行くって

「葵のこと…覚えてるかなぁ」

「お前のこと心配してたよ」

「本当に?」

「本当だよ。会うたびにお前のこと聞いてきたよ」

「そっか…」

先生…私のこと心配してくれてたんだ

嬉しいな…