「まだ、渡してない……」

「そっか。じゃあ、帰りに渡すの?」

「うん……」

「愛歌、緊張するかもしれないけど頑張ってな。絶対小野君も愛歌の事好きやって」

亜由は、サラっと言った。

康太が私の事、好きなわけないよ……

ハアー。

そう考えたら勇気がなくなって来た。

「愛歌、自信持って」

詩織がそう言ってくれた。

2人が応援してくれるんだから頑張らないと。

「うん、頑張るよ」

「よっしゃー。その意気で」

「チョコ渡したら教えてね」

「うん」

まだ、この時は勇気があった。

放課後―

「じゃあ、うちら先に帰っとくな」

「後で報告してね」

「うん。バイバイ」

詩織と亜由は、そう言って帰って行った。

よしっ。

頑張るぞ。

私は、康太のクラスに行った。

「康……」

康太は、女の子にチョコ渡されていて告白されていた。

その周りは、康太を冷やかしていた。

私は、その場から去ろうとした。

でも、また同じことになるから最後まで聞かないと。

私は、黙って聞いてた。