「康太、行こ」

私は、そう言って家から出ようとした。

「愛歌、今日はやたらせっかちだな」

「なるほどね」

お母さんは、そう言ってニヤニヤしてた。

「行って来ます」

私は、ローファーを履いて家から出た。

「今日、バレンタインデーだな」

康太が言った。

「そうだね」

私は、真顔で言った。

だってどう答えたらいいか分からないもん。

「愛歌は、俺にチョコくれるの?」

「でも、康太チョコいっぱいもらってるんだからいらなくない?」

思ってもない事を言ってしまった。

「お前、全然分かってないな」

康太は、そう言って先に歩いて行った。

康太の顔は、ちょっと寂しそうな顔をしていた。

康太のその言葉ってどう言う意味?

訳分からないよ……

今日は、康太の後ろを歩いて学校に行った。

あれから1つもしゃべらなかった。

「愛歌、おはよう」

「おはようやー」

テンションが高い詩織と亜由。

「おはよ……」

私は、テンションが低い。

「愛歌、どしたん? 何かテンション低いけど……」

「そうかな? やっぱり緊張してて……」

「そっか。ならいいんだけど……」

「で、康太君にはチョコ渡したの?」

詩織がサラっと聞いて来た。