「詩織、本当にごめん」

「いいって。それより、私帰るね」

「うん。じゃあ、バイバイ」

私は、事務所に向かった。

「愛歌ちゃん、待ってたよ」

「あの今日は、仕事あるんですか?」

「仕事は、ないけど渡したい物があるのよ」

「何ですか?」

「これ。分かる?」

高岡さんは、雑誌を私に見せて来た。

「これってもしかして私が載る雑誌ですか?」

「そうよ。愛歌ちゃんには、発売日より先に私とこうと思って。嬉しい?」

私は、嬉しかった。

「はい。嬉しいです。あのもう3冊もらえませんか?」

「いいわよ。ちょっと待っててね」

一冊は、お母さんに。

2冊は、詩織に。

そして3冊は、康太に。

康太は、どう言うか分からないけどね。

男だし、喜んでくれるかどうか分からないけど康太に1番にあげたかったから。

「はい。友達にあげるの?」

「はい」

「じゃあ、今日は仕事ないから家まで送るわ」

「いいですよ」

「ダメ。危ないし、送るわ」

「ありがとうございます」

高岡さんに家まで送ってもらった。

「ありがとうございます」

「愛歌ちゃん、じゃあーね」

「はい」

高岡さんは、そう言って帰って行った。

私は、持っていた雑誌を強く握った。

1番には、康太にあげよう。

喜んでくれるかな?