―放課後

「おい。愛歌」

康太が私のクラスに来た。

「どうしたの?」

「愛歌、今日俺んちで晩御飯食べない?」

「何で?」

「母さんが愛歌、連れて来いとか言うしさ」

「ごめん。今日は、ちょっと用事あるから。おばさんにごめんと言ってて」

「分かった。じゃあーな」

「うん」

康太は、帰って行った。

康太のおばさんに悪いけど、今日用事あるんだ。

詩織がどうしてもあの男に謝れと言うし……

「康太君、何て?」

「康太の家で晩御飯食べないかだって。でも、今日詩織とカラオケボックスに行くから
無理と言ったよ」

「そっか。康太君に悪い事したね。じゃあ、今からいける?」

「うん」

「ちゃんと勇輝君と話すんだよ」

「うん……」

カラオケボックスに着いた。

ハー。

今更だけど帰りたい。

あの男にどう言えばいいか分からない。

普通に「ごめんね」って言えばいいよね。

でも、あんまりあの男と話したくないし……

詩織にそんな事言ったら怒るよね。

私と詩織は、カラオケボックスに入った。

205号室。

「愛歌、入るよ。普通通りにすればいいよ」

「うん……」

普通通りかあ……

出来るかな?