「愛歌、ありがとう」
「ううん。じゃあ、そろそろ帰ろうかな?」
「そうやな。じゃあ、詩織バイバイ」
「うん、バイバイ」
私と亜由は、詩織の家から出て行った。
「なぁ、所で今日あんまり小野君と話してなかったな」
帰り道、亜由が突然言った。
ぎくっ
もしかして分かってるのかな?
「あっ、うん。ちょっと気まずくて……」
私は、正直に言った。
「気まずいってもしかして小野君とケンカでもしたの?」
亜由が私に聞いて来た。
「ううん。ケンカって言うかその……」
キスを拒んだと言うのは、恥ずかしい……
「で、何や?」
「その私がキスを拒んで……」
「愛歌と小野君ってまだキスしてなかったん? 遅いなぁ」
えっ、遅い?
「遅いかな?」
「早い人なんか付き合ってその日にする人も居るで」
えっ、その日で?
早すぎる……
「まぁ、愛歌にはその話が苦手だろうけどな」
「うん……」
「取り合えず、今度は拒んだらいけんで。じゃあ、また明日な」
亜由は、そう言って帰って行った。