●愛歌●

私は、カラオケボックスから出た。

最悪……

私は、泣きながら走って行った。

ぐい―

突然誰かに腕を掴まれた。

顔を見るとあの男だった。

最悪……よりによって私が泣いてる所を見られるなんて……

私は、もう二度とあの男に会いたくなかった。

「何であんたが居るのよ……」

自然に言葉が出た。

多分、あの男からしたらかわいくねぇ女だなと思われるかもしれないけどそれでもよかった。

「お前の親友と光輝が追いかけろと言ったからだよ」

あの男は、言った。

何だ。詩織と光輝君に言われたから来ただけ?

てっきり謝りに来たと思った。

でも、あの男が私に謝るわけないよね?

でも、あの男が全て悪いんじゃないし謝った方がいいのかな?

でも、あの男に謝るなんて恥ずかしいし……

「もう、いい。私、帰るから」

私は、言った。

「待てよ。その……」

あの男は、何か言いかけた。

どうせまた私が泣いてるからからかいに来たんでしょ?

だったら私、もう関わりたくないから。

私は、あの男に掴まれた腕を振り払って帰って行った。

もう、最悪……

二度と合コンなんか行きたくない……

嫌でも勇輝を出して行った合コン。

私にとって最悪な合コンだった。