「勇輝、お疲れ様」

私は、勇輝に言った。

「ああ。お前もお疲れ様」

勇輝は、そう言って旅館に戻った。

もしかして勇輝って意外にシャイ?

顔に似合わない……

プッ

私は、つい笑ってしまった。

「愛歌、よかったよ。これ、言ったら勇輝君に怒られるけど、知りたい?」

何だろう?

気になる……

「あのね、愛歌が森で倒れてたでしょ? あれ、1番に勇輝君が見つけたの。それで愛歌がなかなか意識が戻らなくてすごい必死に病院の先生にお願いしたのよ。それで泣いてたしね。愛歌が危篤中って記事書かれた時だってすごい怒ってたもん。愛歌のそばに勇輝君がずっと居てくれたのよ。だから、お礼言った方がいいよ」

高岡さんが言った。

私は、高岡さんの言葉が信じられなかった。

あの勇輝が私の事を?

いつもは、私の事をからかうのに……

「それ本当なんですか?」

「本当よ。あっ、この事内緒にしてね」

「はい。じゃあ、私勇輝にお礼行って来ます」

私は、勇輝の部屋に行った。

「勇輝、入るよ」

「何だ? お前か」

勇輝は、いつものひねくれ者に戻っていた。

本当にこの勇輝が涙を流したの?

「勇輝」

「ん? 何?」

「いろいろとありがとね」

私は、笑顔で言った。

「別にお前に礼言われること、してないし……」

勇輝は、そう言った。