●愛歌●

私は、勇輝と一緒に旅館に戻った。

「愛歌、無事でよかった。心配したのよ」

高岡さんが言った。

「いろいろと迷惑かけてごめんなさい……あの私のせいで撮影が遅くなったんですよね? 監督さんとかにも謝りたいんですけど……」

「愛歌、いいのよ……それより、誰に刺されたの?」

高岡さんが私に聞いて来た。

誰に刺されたか言われたけど、どうしよう……

「よく覚えてません……もう、いいじゃないですか」

私は、嘘を付いた。

本当は、覚えてたのに……

でも、言ったら勇輝が怒るから言わない……

「愛歌、大丈夫だったの? 私達も心配してたから」

香織が言った。

「もう、大丈夫なの?」

咲が私に聞いて来た。

「大丈夫だよ。咲と香織にも心配かけてごめんね……今日、ラストシーンあるから頑張るよ」

「うん。お互い、頑張ろう」

「うん」

私は、言った。

「愛歌、本当に大丈夫?」

高岡さんが言った。

「大丈夫です。行きましょう」

私は、旅館から出た。

「AIKAちゃん、無事でよかったよ。今日、撮影一応入るけど無理しちゃダメだよ」

監督さんがそう言った。

「大丈夫です。迷惑かけてすいませんでした。精一杯頑張るので宜しくラストお願いします」

「そっか。じゃあ、ラストシーンこれから入ります」

監督さんが言った。