「何? 愛歌って勇輝君と知り合いだったの?」

「うん、ちょっとね」

「だったらいいね。やりやすいでしょ?」

高岡さんは、そう言った。

やりやすいより、やりづらいけど。

「別に。それより、どこの旅館で止まるんですか?」

「和歌山の旅館よ。まぁ、そこが綺麗な旅館だしね」

「そうなんですか」

って言うか何時間かかるんだろう?

「おい」

「何?」

「くれぐれも足手まといになるなよ」

「分かってるよ」

勇輝は、憎たらしい。

何で勇輝と恋人役なんかしなきゃならないのよ。

私は、ムカツク気持ちを我慢していた。

まぁ、あまり相手にしなければいいよね?

「あの香織さんて今回ドラマ初めてなんですか?」

「初めてじゃないよ。でも、緊張するな。愛歌ちゃんと咲友達役やれて嬉しいしね」

香織さんは、そう言った。

「私も香織さんと咲さんと一緒に共演出来て嬉しいよ。迷惑かけるかもしれないけど、宜しくね」

「うん、宜しく。ほら、咲も何か言って」

「宜しく」

咲さんは、その一言だけ言った。

「咲ってばクールだからね。でも、いい人だよ」

「そうなんだ」

「私の事、香織でいいよ。私も愛歌って呼んでいい?」

「うん、いいよ。咲さんは?」

私は、咲さんに聞いて見た。