「初めまして。愛歌の母です。色々迷惑かけるかもしれないけど、どうか宜しくお願いします」

お母さんは、言った。

「こちらこそ、初めまして。愛歌のマネージャーの高岡静香です。責任取って2ヶ月間、旅館に泊まるので安心してください。愛歌は、モデルに才能があるから迷惑なんてないですよ」

「そうですか。じゃあ、宜しくお願いします」

「はい。じゃあ、そろそろ行きますので……」

「お母さん、バイバイ」

「ちゃんと迷惑かけないようにするのよ」

「うん、分かった」

私は、そう言って車に乗った。

「愛歌、こちら一緒に共演する勇輝君と咲と香織だよ。お父さん役は、まだ出ないから今日は、来てないの」

「私と咲は、会ったことあるよね? 愛歌ちゃん」

「はい」

「敬語じゃなくていいのよ」

「あっ、うん」

香織さんは、本当に愛想のいい人。

咲さんは、無口な人。

で、勇輝君はってどっかで聞いたような名前。

「あっ、勇輝」

私は、勇輝に指を指した。

「お前、モデルだったのかよ。俺も最近始めたんだよ。お前と恋人役か。もっと色気のある人がよかった」

「勇輝も始めたんだって失礼な。私だってもっとカッコイイ人がよかったよ」

「あっそ。まぁ、俺には関係ないけど。お互い、頑張ろうな」

勇輝は、あいからわず無愛想で口が悪い。

おまけにすぐ私をからかう。

「うん、お互い頑張ろうね」

ハアー。

まさか、勇輝が恋人役だったとは……

勇輝と恋人役なんてやりづらい……

しかも、キスシーンもあるし。

知ってる人とするのって恥ずかしいな~。