その日の夜。


消灯になり、眠れなかった僕は思いきって病院から脱走しようと考えた。


結果がわかったんなら治療を受けるためにわざわざこんなとこいる必要ないじゃん。


どうせ死ぬなら外で死にたい。




僕はなんのためらいもなく、病院から抜け出した。




このときはあまり気にしていなかったが
一点だけあとで思い返すと不可解なことがあった。






僕が抜け出したその日の夜、なくなったはずのおじいちゃんが廊下をあるいていたのである。







ここから始まる出来事はいまだかつて経験したことがない現象だった。





日は変わり、6月16日。暑くジメジメした日だった。