『ごめんね、嫌な話聞かせちゃって。こんな話聞いたら引くよね。』
『…いや…別に引かへんよ。人を好きになる時って好きになろうと思ってなるもんちゃうし。自分でも気づかへんうちに好きになる。自分をそんなに責めたら可愛そうやで。相手の男は男として許せへんけどな。始めは奥さんいるって知らんかったんやし…だけど…きついかもしれへんけど早よ別れた方がいい。』
『…うん。そうやね。』
少しの沈黙のあと
彼女が立ち上がった
『ありがとう。話をきいてくれて。』
じゃあ…って
立ち去ろうとする彼女を
咄嗟に引き留めた
『待って…。』
んっ…て
立ち止まった彼女に言った
『なぁ…ホンマに自分を責めたらあかんで。絶対追い詰めたらあかん。どんな自分でも自分を好きでいとかへんと自分が可愛そうやん。一番の理解者でおらな。他の誰かやなくて自分で自分の心を守ってあげな…。』
『…うん…そうやね。私は私…どんな私でも私。受け入れなあかんね。』
『もう嫌なことは過去にしてしまって…過ぎた時間を悔いても仕方ないし、いくら考えても変えられへん。けど未来はいくらでも自分で変えられる。自分で切り開けばいい。だからそいつのことは早く忘れて前向いて歩いて。』
『…うん。ありがとう。今日ここで貴方にあって良かった。ねぇ名前教えてくれる?』
『長谷川颯太18歳。』
『颯太くん。高校生?私は絢音。橘絢音21歳。』
『絢音さん…俺、心配だからまた逢いたい。』
自分で言って自分で驚いた
何だか彼女と離れたくなくて
咄嗟に出た言葉だったから



