小高い丘に建っているとても大きな屋敷。

ここは伯爵であるコストナー氏が建てた屋敷だ。


その屋敷の広い手入れの行き届いた庭では一人の少女が読書を楽しみつつ
考え事をしていた。


少女の美しい金髪は日の光を浴びて
さらにキラキラと輝いている。

しかし、少女の銀色の瞳には少し影がかかっていた。


「カレン様ー!
ここにいらしたのですか!!」



侍女とは思えない雰囲気だが
侍女のような服を着た少女と呼べる女性がはぁはぁと息を切らしながら走ってきた。


カレンと呼ばれた少女は
本からふと顔をあげ、優しく言った。



「そんなに慌てて走ると転ぶわよ」


「えっ、えっ!?うわぁっ!」




ドッテーン




そんな効果音が付きそうほど派手に
彼女は地面にダイブした。


「いたーい…」


「大丈夫!?」


カレンは本を机に置くと
急いで彼女に駆け寄った。


「まぁ、膝擦りむいてる。
あっ!肘も。

早く治さなくては。
ミール、手出して?」