そうした結果、後悔した。
両手で支えている手は千切れそうなほど痛いし、何より足元を見ながら歩くことすらできない。足を一歩前に出すだけで、もう随分と歩いた後のような疲れがどっと押し寄せてくる。
こんなことならば、たとえ面倒でも繰り返し水汲みに行ったほうが早いし、何より楽だ。
額から汗を流しながら、マイアは呻き声を漏らしながら大股で歩いていると、ちょうど庭園の水遣りをしているフィーネと目が合った。
にっこりと、優しく微笑むフィーネとは反対に、マイアは笑顔を浮かべることすらできなかった。それでも、頭を下げようと体を傾けた瞬間、足元にあった石に躓いたのだ。水の重さと、バケツの大きさもあり、足元に注意を払う余裕がなく、あっと気づいたときにはもう遅かった。
倒したバケツの水は、フィーネの下半身と元気に育っていた花たちを濡らし、天使のような笑顔を崩さないフィーネの表情を凍らせた。
「ご、ごめんなさい……!」
転んだ拍子にすりむけた膝の痛みも忘れて、マイアは青くなりながら立ち上がった。
どうしよう、と頭の中が真っ白になっているときに、それは聞こえてきた。



