けれど、確かな言葉として伝えれば、マイアをひどく沈鬱とさせるのだろうと思うとなかなか話を切り出せずにいた。自分がもしマイアの立場になったとしたら、と考えるだけで唇が震える。しかし、声を震わせ伝えるわけにはいかないのだ。弱いところを見せてしまえば、マイアは気を使う。娘を支えていきたいと願うフィーネの思いもむなしく、きっとマイアはその手を受け取らない。それだけは、避けたい――。
「――フィーネさん、ユンの意識が戻らないって、本当のこと?」
自分を落ち着かせようと、ゆっくりはっきりとした口調で、それでも時おり声を震わせながらマイアが訊いた。
思わず、フィーネは目を瞠った。
あまりに想像していなかった言葉に、しばらく声が出せなかった。
「……ええ、いえ、でも――そうね、確かに意識がないというのは違わないけれども、大丈夫よ。お薬で眠っているだけだから。……マイアちゃんには伝えていなかったわね、悪かったわ」
困惑した表情を見せたかと思ったら、手で顔を覆い椅子に深く腰をおろしたフィーネを見て、マイアは言葉をなくした。
「違うの。あなたに伝えたかったのは、ユンのことじゃないの」
顔を覆った指の隙間から洩れたフィーネの声は、今にも消えてしまいそうなほど小さい。
「違うのよ、マイアちゃん……。ステイルが、永逝したって――」
マイアの顔から表情が消えていくのを、指の隙間からフィーネは見た。



