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領土を巡る小競り合いは治まることを知らないかのように、二か月経った現在も相変わらず続いていた。しかし、戦が始まったばかり頃のような混乱は、もう人々の間には生まれなかった。
この、乱れた日々が日常となっている証拠である。
また、マイアたちのように、戦火とは縁遠い場所で生活している者に限っては、耳に入ってくるのは物語のようなものだ。日常ではなく非日常なのだから。
顔も知らない誰かが命を落としたと知れば、気の毒だという気持ちは生まれるものの、身近な親しい者を喪ったわけではないマイアたちに現実味はない。ただ、どこの領土がまた奪われた、ひどい火災で作物も実らない荒地になってしまった、と聞けば、やはりどきりとしたものだ。明日の心配はなくとも、では来年は? もしかしたら一か月先は? 自分たちは生きていくことはできるのだろうか。けれど、そんな不安も一瞬で、実のところ、マイアたちに周りに漂う空気は、平穏そのものだった。
ふとした瞬間に、自分は守られるだけ守られて、何もせずいることへの罪悪感が胸を刺すくらいには、穏やかであった
領土を巡る小競り合いは治まることを知らないかのように、二か月経った現在も相変わらず続いていた。しかし、戦が始まったばかり頃のような混乱は、もう人々の間には生まれなかった。
この、乱れた日々が日常となっている証拠である。
また、マイアたちのように、戦火とは縁遠い場所で生活している者に限っては、耳に入ってくるのは物語のようなものだ。日常ではなく非日常なのだから。
顔も知らない誰かが命を落としたと知れば、気の毒だという気持ちは生まれるものの、身近な親しい者を喪ったわけではないマイアたちに現実味はない。ただ、どこの領土がまた奪われた、ひどい火災で作物も実らない荒地になってしまった、と聞けば、やはりどきりとしたものだ。明日の心配はなくとも、では来年は? もしかしたら一か月先は? 自分たちは生きていくことはできるのだろうか。けれど、そんな不安も一瞬で、実のところ、マイアたちに周りに漂う空気は、平穏そのものだった。
ふとした瞬間に、自分は守られるだけ守られて、何もせずいることへの罪悪感が胸を刺すくらいには、穏やかであった



