花嫁に読むラブレター


 けれど、ユンとは相変わらずなかなか会えないのだ。

 フィーネ自身が認めたくなかったのだろう。決して彼女の口から聞くことはできなかったが、クラウスが流行り病で臥せているのをお城に来て知った。

 クラウスの分も埋めるように、ユンは自分の眠る時間を削って働いた。だが、ユンはお城に充てられた自分の部屋ではなく、マイアに充てられた狭い部屋に必ず戻ってくる。マイアが望んだのと、なるべく一般人として苦労なくすごせるようにとフィーネが配慮してくれたおかげで、城の使用人たちがすごす部屋に並んで質素な部屋が与えられた。

 みなが寝静まった頃、絨毯の敷かれた廊下を静かに小走りでユンは戻ってくる。そうして、やはり眠っているマイアが起きないよう、音もなく扉を開けるのだ。マイアの前髪を掻き分けて、そっと口づけをしてから同じシーツに入る。寝息が聞こえ始めてから二時間後、再びユンは戻ってきたときと同じように、静かに出ていく。

 マイアはいつも寝たふりをする。

 どれだけ眠たくても、必ず起きている。けれど、決して目は開けない。起きていることを悟られないよう、自然な状態でいかにも眠っているよう演技をしていた。