それ以上の言葉は出てこなかった。
心の底から怒りがこみあげてきて、罵倒してやりたい気持ちはあるのに声にならなかったのだ。熱い吐息が、冷たい空気に触れて白く流れる。
しばらくお互い無言で睨みあっていたが、最初に視線を外したのはマイアだった。
怒りが絶頂に達した瞬間、涙がこみあげてきた。
見られたくない。
涙は負けを意味する。だから、絶対に見せられなかった。さも冷静だと言わんばかりに、マイアは窓を下げる間際まで、唇を震わせることも、まばたきすらもせず、ただレナータを見つめていた。
冷たい風が完全に遮断されると、マイアはカーテンをしっかり閉め、急ぎ足で部屋の扉の鍵をかけた。その足で、そのままシーツの上に倒れ込み、マイアは声を出さずに泣いた。
枕を抱え込み、嗚咽をこらえるように枕の端を強く噛む。それでもときおり漏れる声に、マイアはさらに悔しさを募らせた。
ステイルの手紙を燃やされた悔しさもあるが、それ以上に、レナータにされるがままの自分を思うと恥ずかしく、そして悔しい。



