花嫁に読むラブレター


 レナータが部屋に置いていった、冷めかけの紅茶に手を伸ばし、ひと口含んでカップを置こうと視線をわずかに上げた瞬間――違和感を覚え、顔を上げた。

 乱暴に置いたカップの中で揺れた紅茶がこぼれるのも気にせず、マイアは椅子から立ち上がって窓に手を添えた。

 煙があがり、炎がゆらゆら揺れているのが見える。背筋に虫が這ったような、寒気を覚えて慌てて窓を引き上げた。

 頬にナイフをあてたような鋭い寒さが沁みる。

 思わず体がぶるっと震えたが、マイアはそのまま身を乗り出し窓の外を覗いた。

 家のどこかに火の手があがっているのを想像し、狼狽していたマイアは窓の外にいた人物を見つけて、深い息を吐いた。

 火事ではないらしい。火床の上に並べられた薪が燃える傍らにレナータがいた。勢いよく燃え上がる炎をひたすら見つめている。

 フィーネもよく庭で焚き木をしていた。木の実や芋、それに肉を火で炙って食べるのは格別に美味しい。ちょうど昼時だ。昼食の準備でもしているのかと思い、マイアは窓を下ろそうとした瞬間、顔を上げたレナータと目が合った。