「……式がどうかしたのですか?」
自分が割って入っていい話題かわからず、恐る恐る訊ねる。
「本当にすまない、マイアさん。本来ならばマイアさんをお招きする前にしっかりと伝えなくてはいけなかったのだが。
結婚式は行わない方向で進めようと思っている」
マイアは、思わず「え……」と呟きそうになり、慌てて言葉を呑みこんだ。
「結婚式を行うとなると、どうしても国の関係者も呼ばなくてはならなくなる。フィーネのときもそうだったが、一般の方と婚姻を結ぶとなったら、結婚式は行わないと昔から決めていてね。……本当に申し訳ない」
クラウスが心の底から申し訳なさそうに、そして頭を下げたのを見てマイアは身を乗り出した。首を横に振り、クラウスに頭を上げるように今度はマイアが頭を下げた。
「あの、わたしなら気にしていません。だから、クラウスさんも気にしないでください」
努めて笑顔で言うと、ようやくクラウスが頭を上げる。
しかし、すまなそうな面持ちは変わっていない。



