手紙を見た瞬間に、後悔の波が押し寄せる。
(…ああ、またこの地獄が始まるのか…)
頭の中は、やけに冷静だった。
一度目の、この“招待状”を見たときは
涙が止まらずに、泣きじゃくっていた。
なれって、怖いね。
自重気味に、少し笑って見た。
勿論、それを見たものなんて一人もいやしない。
「 尚登、…あたし、ちょっと後で出かけてくるね? 」
クルリ、と身体を180度回転させて尚登と向き合う。
尚登は丁度お茶をつぎ終ったのか、お茶の入ったペットボトル
をもとあった位置に直しているところだった。
キョトン、と不思議そうに首を傾げて
「おお、いってらっしゃい」とだけ告げた。
「 …ん、 」
行ってきます、と言う言葉の変わりに小さく言葉を漏らす。
尚登の注いだお茶を手にとり、一気に飲み干す。
夏、を思い出すような独特な麦茶の味を
しっかりと喉に刻み込む。
「 …あー、奈緒ー。今日のご飯はお前の好きなオムライスだかんなっ 」
ニィ、と八重歯をむき出して笑う尚登。
その後に「だから、早く帰ってこいよ?」
と続けて自室のある2回へとあがって行った。
うん、と頷くだけ頷いた。
一応笑みは浮かべて見たけれど、どうだろうか。
恐らく、引き攣っているんだろうな。
等と思いながら空っぽのガラスのコップを片手に立ち尽くす。
ガタガタ、と二階から騒がしい音が聞こえてくる。
恐らく、尚登もどこかに出かける予定だったのだろう。
キィ、というクローゼットを開ける音などが聞こえてくる。
「 …そっか、あたしも準備しなきゃな…。 」

