道化師-pierrot-


この女は、一体…


「…あ、きと」

あきと?

男の名か?
てか

『起きたのか?』



「…あき、」


…寝言か?


譫言のようにあきと、あきとと呟く女を強く抱き、その場を後にした。


――――――――――
――――――


近くの公園に停められたベンツに乗り込む。


もちろん女を抱いたまま。


「慎-シン-!?」

烈-レツ-が驚きの表情をし、ぱくぱくと金魚の様に口を開けたり閉じたりしている。
それを軽くあしらい、葉-ヨウ-が俺に聞く。

「慎、その娘は?」

『…拾った。』
「…は?」「え??」

葉と烈の言葉が重なる。



『だから、拾ったってんだよ!』