「あのなぁ、龍也。今日は年に一度のマラソン大会だぞ?
し・かーも! 3年生の俺達にとって、この2年間の決着をつけることのできる最後の日だ。小春日和な一日って事は喜ばしいことだろうが?」

「……どしゃ降りなら良かった」

響の気合十分の説得にも興味なしといった雰囲気の龍也に、暁もお手上げと両手を挙げてみせる。

響の気持ちも解らないではない。

入学して2年間、マラソン大会のトップは毎年ビケトリの同着だった。

1年目に全く同じタイムでゴールした3人の勝敗は、2年目にビデオ判定することで決着が見られると思っていた。

だが、このときも全くの同着で、コンマ1秒の狂いも無いほどに息のあった(?)結果だった。

成績では龍也に未だに勝った事の無い響としては、何としてもマラソンだけは3年目の最後の勝負で決着を付けたいと意気込んでいたのだ。