【短編】『Love Step』番外編 G A

今年は去年のようなことが二度と無いよう、マラソンコースには進行方向を示す矢印を設置し、職員が主要箇所に立つこととなった。

まず聖良が迷子になるはずがない。

だが龍也にとって心配事は尽きることは無いのだ。

願わくばスコールでも来て、中止にならないかと半ば本気で雨乞いをしてみる。

だが、見事な小春日和の青空には、雨雲の『あ』の字も見当たらず、龍也をあざ笑うかのように爽やかな秋風だけが吹き渡っていた。