ルチア―願いを叶える者



「不思議な人です。誰にも私の弱さには気づかなかったのに…」


弱々しい手つきでナルは私を抱きしめる。


ナル…震えてる……


ナルの心をどうか…
癒せるように…


私もナルを抱きしめた。


温もりを知って…ナル…


「今日会ったばかりのあなたに見抜かれてしまうなんて……」

「うん…」

「寂しかった…」

「うん…」

「辛かったんだ…。逃げ出したかった…」

「うん…。でも、ナルは逃げなかった」



逃げなかったんだ。
どんなに孤独でも、王子で在りつづけた。


国を守る為に…


「私は、この国を守ってきた人達の為にも、逃げられなかった。この国を救えたら、その時こそ…」


私を抱きしめる力が強まった。


「王座を継ぐ資格を与えられる、試練だと思って手をつくしたけど…駄目だった。もう…どうすれば…」


ナル………
それがナルの迷い。


不安、孤独、精一杯の強がり……


「ナル、大丈夫。まだ終わってないよ。ナルと出会えたこの運命は、ナルが導いたモノだもん」

「…それはどういう…」


この人の願い…


この人の孤独を私は壊そう。



「ナル、あなたの願いを教えて…」

「私の……願い……?」

「うん!」

「私は……………」



願ってくれたなら、私も願うよ…


友達の願い……
叶えるよ……



「この国に太陽を取り戻したい!!!」

「それがナルの願いだね…」


私が微笑むと、ナルは頷く。