ルチア―願いを叶える者



「お父様やお母様は…?」

「!!!!」


人の心にズカズカ入っている自覚はある。

でも……知りたい。
この人の孤独を…



「………一年前に父上が、その後を追うように母上も……死んだよ」

「!!!!」


ぶわっと涙が溢れる。
あぁ…やっぱり……


この人はどこか私と似てたから…


何がって、具体的には言えないけど……


「また……」


ナルは私の涙を拭う。

こんなに温かい手なのに、ずっと孤独で…


それでも決してこの孤独から逃げなかった強い人…



「泣かせたのは私…かな…」


ナルは困ったように笑う。そんなナルの手を両手で包んだ。


「花音姫?」

「私も、居場所がなかったの」

「え…?」


居場所なんかなかった。
あったのは住む場所だけ。


「私は私を産んだ両親を知らない。それから、知らない家族に引き取られたけど、居場所なんかなくて…それが辛かった」


あの時は口にすらできなかった「辛い」という気持ち。



でも今はこの人に……
この人に伝えたい。


「だから、少しはナルの孤独…わかってあげられるよ?誰にも弱音を言えないなら、私に言ったらいいよ。私は、この国の人じゃない、あなたの秘密は、ずっと私の心にしまっておくよ」


もう一人で苦しまないで。頼る事は罪じゃない。


今までは分からなかった。でも、どんなに苦しくても弱音を吐かないシェス、それを傍で見ながら支えてきたナル、孤独に耐えるナル…


あなた達と出会ったから…


私は、私の悲しみや辛さを誰かを救う力に変えたいと思った…


「あなたの居場所や拠り所になるから。だって、あなたは私の大切なお友達だから!!」

「…ふっ…本当にあなたは…」


あ………
ナル、泣いてる……


笑ってるけど、泣いてる。