ルチア―願いを叶える者



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―ナスタ山脈


「ありがとうございます」

「いえ、終わりましたらお声をかけて下さい」

「はい…」



国王様の臣下にお願いして、ナスタ山脈まで連れて来てもらった。


理由は話さず、調査という名目だけど…


「あぁ…静かだな…」


この場所には私だけ。
他には誰もいない。


「ルカ……」


―フワッ


風が私を包むように吹く。


「もし、私の声が聞こえるなら、聞いて…」


―ヒュゥゥ…


風を感じる。
ルカ…もし聞いているのなら…


「私には…叶えたい願いが出来たの…」


二人の国を守る事…


「たとえ命を削っても、叶えたい願いなの」


ただ…………


「あなたを悲しませてしまう。約束…守れなくてごめんなさい…」


―ポタンッ


あぁ…泣くなんて…
泣くなんて卑怯だ…


「ルカ…ごめんなさい…」



それでも私…………



「願う………」


この国にもう一度…


「水の恵取り戻して!!」


―ピカアァァァ!!!


体から光が放たれる。
それは、幾千の光の花びらが散るように美しくまばゆい。


―ドクンッ


「っ………」


胸が苦しい…
痛い………っ!!!!


「はぁっ…あ……」


あれ………?


痛みがすぐにおさまった。一体何だったんだろう…


「花音様!!!だ、大丈夫ですか!?」


臣下の方が駆け寄ってきた。