「アル…ごめんねっ…ずっと一緒にいられ…なくてっ…」


この人を置いていってしまう…
これが心残りで仕方ない。

お母さんも、同じ気持ちだったのかな…


「あなたは一人じゃないから…」


だから、また前を向いて欲しい。


「いつか、私が…思い出に…なった…としても…アルの…幸せだけを…願って…るから…」


私が、愛した人の幸せを…
この人が笑っていられますように…


「花音…俺は…あなたが隣にいてくれなければ…幸せになど!!」

「お願い…アル…。幸せに…なって…。私の…分まで…」


あぁ…もう時間が無い。
お別れする時間すらちゃんと無いなんて…


「ルチア…の力…よ…」


私の体が、光を帯びる。


「花音っ…逝かないで下さい!!俺はただ、あなたと生きたい!!」


その願いは…
叶えられない。叶わないんだよ…アルっ…


涙がいっぱいになって、ボロボロと流れ落ちる。


「約束したではありませんか!!一緒にっ…泉をっ…」


涙を流すアルの頬に手を伸ばす。


「泣か…ないで…」


笑ってなんて無責任な事、言えないけど…


そんな顔されたら、安心して逝けないよ…


「アルと…この世界で…出会えて…良かった…」


ありがとう…神様…
ありがとう、皆。
これが、この世界で願う、最後の祈り…


皆が傷つけ合わないように…
今度こそ、人の力で生きていけるように…


私は永遠の幸せをベレスレリアに願う。


「私の…大切な世界を…守って…戦いを、終わらせて!!!」


―パァアアアアッ


私の最後の祈りが届いたのか、体から光が放たれた。

―ドクンッ


「あぁっ!!!?」


最後の命の花びらが散り、私の体が消えていく…


「これで…だい…じょう…ぶ…」


争いは…終わる…


「これ…からは…皆…手で…未来…を…創って…」


幸せな…未来を…
私は…願う…………



「花音ーーーっ!!!」

「さようなら…アル…」


大好きだったよ…
私の、愛しい人………