「私は…一人じゃない。だから、こんな幻に負けたりしない」


私はまた瞳を閉じた。


「私は…もう迷わない」


そしてもう一度目を開ける。


するとそこは、また闇の中だった。


さっきと違うのは、目の前にルリがいること。


『どうして…あなたは闇に落ちないの…?』

「私には、仲間がいるから」


皆の存在が、私に前を向かせてくれた。


『私は…一人だったのに…』

「ルリ……」


この世界に来て、あなたはずっと一人だったんだね…


『私は……誰にも愛されなかった…』



ルリ……
あなたはずっと闇に捕われて……


「ルリ、ルリは一人なんかじゃないよ」

『え……?』


ルリは光の無い瞳で私を見つめる。


「思い出して、あなたを愛してくれたお兄さんを」

『…ルカ………?』


私は頷く。
それから、ずっと渡せなかった手紙を取り出す。