ルチア―願いを叶える者



「いけませんね…。あなたを喜ばせたくて、ここへ連れて来たというのに…」


アルは自嘲的な笑みを浮かべ呟く。


「…アル……」


私は、どれだけこの人を悲しませるんだろう。


離れた方が良かったって…そう思うのに……


私が死ぬまで、私の傍で私だけを愛して欲しい…


そう願っている自分がいる。


「アル、私はあなたに永遠は約束出来ない…」


アルは傷ついたように顔を歪める。


「それでも、私はアルに傍にいて欲しい」

「!!!!」

「私が死んでしまうその日まで、私を…愛して…欲しいっ…」


こんな我が儘を、どうか許して…

涙がボロボロと流れ出す。


「私はっ……あなたにっ…思い出と…想いを残して逝くからっ…だからっ…」


その思い出と想いを…
私にはそれしか残せないけれど…


「私の傍にいて…私を愛して…アルっ……」


もう涙でアルの顔が見えなかった。


こんなに泣いた事が、今まであったかな…?


ううん、多分無い。
私は今、人生の中で一番泣いているのかもしれない。


人を愛するという事が、こんなに辛くて、苦しくて…でも、温かいなんて…


今まで知らなかった。
この世界に来なければ、知る事もなかったかもしれない…