ルチア―願いを叶える者



「生きる事を諦めないで下さい」


生きる事を…諦めない…
そうしたら、私は生きれるのかな…?


「俺があなたの生きる未来を願います」

「私の…生きる未来…?」

「そうです。あなたが、俺の傍でただ幸せに笑っていられる未来を…」


アルの傍で、ただ幸せに笑っていられる未来…


そんな幸せが…
そんな幸せを手に入れられたなら、どんなに…


「どんなに幸せな夢なんだろう…」


涙が出る。
そんな夢すら、打ち消すように私の命は消えていく…


「夢ではありません!決して…夢…などでは……っ」

「!!」


何故かアルが泣いていた。私の手を握り、私を見つめながら涙を流している。


アル…泣いて……?


「あなたは役目の為に十分なくらい代償を払ったではないですか!!まだ足りないと言うのですか…?」


誰に問うでもなく、アルが叫ぶ。


それはもう嘆きだった。
手に入らない未来に、叶わない願いに…


「俺はもう…あなたを失う事は出来ないというのに…」


何故か、アルの姿がお父さんの姿に重なって見えた。


お母さんを目の前で失った時のお父さんの表情が、今のアルのものと同じに見える…


もし、私のせいでアルが自分の運命さえも呪ってしまったら…?


そんなの…駄目だ。