「あなたはそこで育ち、生きてきたのでしょう?俺と共に生きるとは言っても、あなたにも自分の世界があります…」
アル……
全てが終わった時、私の命にまだ時間があるとしたら…
「私は、あなたのいるこの世界で生きるよ。それに、私はもうこの世界をあなたを愛すのと同じくらい愛してる。あなたと私が出会い、これからを紡ぐ世界だから…」
私はこの世界が好き。
空も、星も、人も…
「私が私のいたあの世界を失っても、アルが傍にいてくれるなら寂しくはないよ」
それに、あなたが私の帰る場所。私の居場所だから…
「…俺は…あなたを愛しています。だからこそ、手放したくないのと同時に、あなたを幸せにしたいと思います」
私も愛してる。
あなたと同じように私もあなたの幸せを願ってる。
「あなたが自分の世界にいたいのなら、私は背中を押そうと思いました。今でもそれは変わらない。ただ…」
「ただ…?」
じっとアルの言葉を待つ。
「あなたが、俺と生きる事を望むのなら…。俺は花音を一日、一時も欠かさず愛します」
心が…満たされていく……
不安な思いも、背負う宿命も重圧も…
全てを消し去るように流れ込んでくる愛情。
私は…こんなにも愛されてるんだね…
そんなあなたの傍で、愛し愛されたい。
「花音、生きて下さい」
「…アル………」
胸がズキンッと痛む。
生きて…なんて…
私には叶えられないよ…


